学習塾の中途解約
学習塾ですが、法律上では「特定継続的役務提供」と呼ばれるものに大きく分類されます。
学習塾の典型的な特徴としては
無料資料請求や突然の電話勧誘で返事をすると執拗な電話勧誘がある。アポイントをとられる。
子供の教育の不安感をあおり多年度にわたる高額教材を売る
中途解約の精算やクーリングオフの説明があいまい。期間経過などで利用とするなど
講師の質などに不満が出る
中途解約すると精算金が不明瞭。
また教材の解約も困難
学習塾の問題点は主にこのような点にある。
迷惑勧誘〜一度資料請求をすると頻繁に勧誘電話が来る。再勧誘禁止に該当する怖れも。
長時間勧誘〜実際に塾の説明会出向くとそこで帰らないような長時間に及ぶ強引な勧誘をうけ、契約するまで帰れないような状況になる。こちらも消費者契約法の不退去に該当する。中には子供の先行きに不安をおぼえさせるような言動も
契約書の違法性〜中途解約の精算方法などに本来の法律の趣旨から反する精算規約を設けているケースも。契約書を良く見ること。中には教材購入を別契約として中途解約逃れをする不当業者もいるので要注意。また期間経過で利用した事とするなどの規約もある。
サービスの質〜実際には子供の成績があがらない。講師に不満だ、教材も学校のカリキュラムにあってないなど問題も多発。
中途解約の精算が不明瞭〜細工をして教材などの返品額を抑える会社も多いのではなはな困難な事例も多い。また利用した分を計上する事でトラブルも多発。
具体的にどのように解約に向けて動くのか?
まずは中途解約権にもとづく手続を行います。前提として契約時の単価、実際の利用実費などを計算します。
その上で業者の不当な点、こちらに有利な点を探し出して解約協議へ向けての準備をしてゆきます。
その後に内容証明書で中途解約通知書を送り法的な中途解約の権利を行使します。
その後は所定の精算方法によって精算されます。
特定継続的役務 |
役務提供開始前 |
役務提供開始後 |
家庭教師派遣 |
11,000円 |
2万円か1ヶ月の授業価格の低い方 |
これが精算方法ですが、こちらに利用した実費などが加わります。この実費精算でトラブルが多発しています。
また教材を別契約として脱法的な細工をされていると支払停止の抗弁などを申し出て長期協議を覚悟してゆくことになります。
事例紹介
<事例その1>
平成○○年2月頃、学力テストを受けませんかと電話があり男性の方がきました。
帰るまでに4時間もいましたが、断りました。その後女性の方から電話が来て謝りにきますといわれました。
そして担当の○○さんが来ました。
ところが謝罪ではなく教材販売の説明を始めました。
ゆとり教育で子どもの学力が落ちていることから、国や行政から特別に指導のポイントを教えてもらっていると、教師しか手に入らないという特別指導要綱を見せながら話し始めました。
そこでしっかり勉強しないとどんな落ちこぼれになるかという話を強調して「お子さんがこうなったら嫌ですよね。高校にいけなくなったら困りますよね」などと説明をされました。
複数年の教材をまとめて申し込まないと教材が活用できないこと、金額提示等。教材以外の話でも、毎週火曜日になんでも相談に乗って、お子さんの勉強をサポートしていきますので頑張りましょうと言われました。
わたしは母子家庭で3人塾に通わせるのは大変だから塾代と思えばとも言っていました。
しかし高くて払えないと断っていました。しかし「このままではお子さんがダメになりますよ、電話で毎週火曜日の5時30分に勉強が解っているか指導します」と言いました。
返事を濁していると、今日お返事していただかないとダメです。お子さんの将来が心配ですよね。と不安をさらにあおるような説明を繰り返し、訪問してから数時間近くにわたる説得で結局契約をしてしまいました。
その後小学1〜6の教材を使いこなす方法を教えに行くと来訪されましたが、終わると「教科書の内容が変わったので今回買ったものでは不足する。数学は特に解りにくい」と言われ最初に女性営業が来て話したことと同じようなことを長々話しました。
それで追加購入の勧誘をし始めたのです。
しかし、その時も不安を感じる説明で買わないとまずいのではと思いこんでしまい契約をしたのでした。
しかし、契約後は、担当者には連絡が取れず、毎週火曜日に指導するというのも最初の1回のみ。2回目に関しては一度も無しです。
全く指導を行うという約束は反故にされました。
<事例その2>
まず平成○年×月下旬「中学生の御宅を回って学習についてのアンケートをとっている」という男の人がたずねてきました。
アンケートだけならと子供と一緒に応対しました。
質問は、塾や家庭教師の利用の有無。志望校、将来の夢、今の中学校の良いところ。などでした。
息子は塾には行っていないと答えると「じゃあ業者テストもうけたこともないですね。お母さん。中学校で習う単元ってどれだけあると思いますか?」といいつつポスターを広げました。
単元の一覧表に出題頻度が星の数で表してあるものだったので、思わず子供と一緒に覗こうとするとすぐにたたんでしまいました。
「うちの会社で検定テストを受けてみませんか?有料ですが(1500円)後日テストの結果とアドバイスを一緒にこの一覧表をお渡しします。又教材のご紹介もありますが、嫌でしたら聞かなくても結構です。」ということでしたので(子供も私も)その一覧表がもらえればとの軽い気持ちでテストを受けることにしました。
ただこの1500円で自動的に何かを契約するシステムになっていないかが心配で、その点は確認しました。
あくまでもテスト料とアドバイス(情報提供料)とのことでした。
テストは郵送でなく自宅のポストに置いたものを回収する形での提出でした。
○月○日、前回とは別の人がたずねてきました。(匿名)
玄関先で、今回の訪問の目的(テストの結果、アドバイス、教材の紹介(これについては嫌だったら聞かなくても良い))を告げ、礼儀正しい感じに見受けたので家に入ってもらいました。
説明はこのような説明でした。
「テストの結果だと今のままでは志望校(県立)は難しいです。通知表ありますか?ないならだいたいの成績を教えてください。」
子供「このくらいかな(教科ごとに説明)」
匿名「それだと内申点は○点くらいだから、ボクごめんね。○○高はムリ。お母さん内申点ってご存知ですか?」
私「知りません」
匿名「入試には内申点をどれだけとっているかが大切なんです。内申点を上げるには中間、期末でどれだけの点数をとったかが決め手になります。ところでお母さん、今年から県立の推薦入試がなくなったことはご存知ですか?」
私・子供「ええ〜本当ですか?学校からは何も聞いて無いです」
匿名「本当に知らないんですか?今年からなくなったんです」
「だからみんな実力でやるしかないんですよ。内申点UPの為に足すとの点数を上げるには勉強するしかないけどテストの範囲は広いから全部は勉強しきれないよね。でも実はテストに出るところは決まってるんだよ。学校の先生がもっているトラの巻(指導書)には◎、○、△の印が書いてあって◎がテストにでるところ。そんなトラの巻が落ちていたらほしくない?欲しいよね」
「そのトラの巻の教材がこれです。でも聞かないならおっしゃってください。帰りますから」といいつつかばんからバインダーを取り出しました。
「重要なのは◎のところ。ここさえしっかりやっていれば、テストの成績はばっちり。これはある中学校の理科の期末テスト。ほら◎のところが全部でてるでしょう?毎日1ページずつやっていけば、3年間の内容の復習が短い期間で終わるしテストに出る◎のところをしっかりやれば、成績は必ず上がるから。成績が上がって内申点もよくなれば、今の志望校はもちろん、もしかしたらその上の高校にも行ける。なんてこともアリかもしれないよ」
そして英語が得意でない息子に簡単な問題を出してきました。
英単語の語尾にSをつけたものをいくつか見せ、それがス、ズ、ツどの発音となるのか?という問題です。
その解き方をまるで裏技のように説明した後、また同じ問題を解かせると30秒でできたのです。
匿名「さっきまで2〜3分もかかったのにこんどは30秒でできたよ。すごい!!お母さん。この解き方は予備校のやり方と同じなんですよ。うちのテキストにはこういうやり方が載っているんです」
「○○君これ欲しい?やってみたい?」
息子はもちろんうなずきました。
私「でもこれはいくらするんです?」
匿名「これは高いですよ〜日本一高い教材です。」そういって
○,658,000円と書いた紙を見せました。
一気に息子の顔が曇りました。「やっぱり・・」という表情でした。
実は息子とは「テストの結果にかこつけて高い教材を売りにくるんだから絶対にのらないように、買わないようにしようね」と事前に打合せをしていたのです。
ところがこのように思っていたにもかかわらず、いつのまにか相手の巧みな話術に飲み込まれてしまっていたのです。
ところが金額を見て現実に引き戻されました。
匿名「お母さん。○のところにどんな数字が入ると思いますか?」
私「さあ・・・」
匿名「実は0なんです」
私は最低でも165万と思っていたので肩透かしをくらったというか拍子抜けしました。
それでも高すぎるとは思いましたが。
「今まで高いといわれた事は一度もありません」と相手が強く訴えるので私も高いとは口にできなくなってしまいました。
それどころか逆に「高いといわれないほどのすぐれた教材」なのかもしれないと思い始めました。
匿名「うちの会社名は聞いた事は無かったんですか?いろんな家庭を回ってると“あの教材オタクの会社のだったの?”って言われるんですよ」
「65万というとすごく高く聞こえますが、小5〜中3まで塾に通ったとしてこれだけかかります。他に講習代が入りますから実際はもっとかかります。それに塾はついていけないような子は置いていかれる。家庭教師も費用がかかり子供との相性も難しい。他に教材屋さんはありますが、中央出版なんか全然ダメですよ」
「公立と私立では高校から大学まで通った場合、どんなに学費の差があるかわかりますか?私立は公立の○倍、都会ならともかく、○○の私立は就職も全然ダメです。」
そして息子に向かって
匿名「○○君。私立だとこ〜んなにお金かかっちゃう。君が頑張って公立(県立)高校に入ってお母さんに親孝行させてあげようよ」
息子は気持ちの優しい子なので素直にうなづき、私も塾に行ったと思えばと契約することにしました。
ただ全教科ではなくある教科だけ選んで買えないか?たずねたところ全部セットになっているので(ハイレベルコースも一緒)それはできないとのことでした。
主人には内緒にしたかった為に自分名義のクレジットで申し込みました。
その時はなんとかこの教材で成績を上げなければという思いでした。
月15800円くらいならば自分の収入から支払っていけると思いました。
契約時の説明では
「この教材には家庭教師はついていません。私が毎日教えに来るわけにはいかないので。でもFAX指導はついています。FAXがなければTELでもいいです。教材の使い方がわからないときやわからない問題があったら連絡下さい。今担当のさいとう先生に電話しますのでお話してください。」
と急に言われ、わけのわからぬまま「よろしくお願いします」とだけ挨拶をしました。
又初めて家を訪問してきた人に対して何かメッセージを欲しいと言われ名刺の裏に良い出会いをありがとうございましたと今思えば間抜けなメッセージを残してしまいました。
クーリングオフに関しての詳しい話はありませんでした。
「クーリングオフもできますが、しませんよね」といわれその時は息子は意欲に燃えていましたし、学習し始めたものを取り上げて返品する等考えもしなかったので「しません」と答えてしまいました。
クレジット契約書の裏側に赤字でクーリングオフのお知らせ」が記載されていますがそれ以外に用紙を受け取ったり説明されることはありませんでした。
帰り際、「同じ中学校でこの教材を買った人はいるのですが?」とたずねると「今年については答えられません。ただ昨年の例で言うと○高に何人、○高に何人合格しました」とのこと。
「坂本さんはこの教材を自分のおこさんにもやらせますか?」の問いには「まだ小さいが絶対やらせます」とのことでした。
私は以上のような経緯をもとにこのように思いました。
今年から、推薦入試がなくなるのなら、実力で頑張らせるしかない。
学力試験にパスできる内申点を取るには中間、期末テストの点数をアップさせないといけない。
効率よく点数を取るには◎のところ(テストに出るところ)を勉強すれば確実に点が取れる。
よって成績も必ず上がるといわれたようにあがるはず。
価格が高いといわれたことが無いという自信満々の態度に、高価だがそれだけの価値がある教材なのかと理解した。
子供もやる気を見せていたし自分の収入で支払っていけるとも思いました。